
オンラインバンキングとソーシャルメディア:デジタル遺産の一部
近年、デジタル化が進むとともに、私たちの遺産も変わりつつあります。銀行口座や投資、さらにはSNSのアカウントまで、デジタル空間に存在するものが増えてきています。これらはデジタル遺産と呼ばれ、故人が遺したものとして取り扱われます。以下にその詳細をまとめました。
1. デジタル遺産とは
1-1. デジタル遺産の定義
デジタル遺産とは、故人がデジタル空間に残した財産のことを指します。オンラインバンキングの口座情報や、ソーシャルメディアのアカウント、デジタル写真やメールなどが該当します。特に近年は、クラウドサービスに保存したデータや、デジタル通貨なども含まれます。
1-2. デジタル遺産の特徴
デジタル遺産は物理的な遺産とは異なり、存在が不可視で、アクセスするためにはパスワードやPINなどの情報が必要になります。そのため、故人がこれらの情報を遺族に伝えていないと、遺族がアクセスできない、またはアクセスするのに時間と労力がかかる可能性があります。
2. オンラインバンキングの取り扱い
2-1. オンラインバンキングの状況確認
故人がオンラインバンキングを利用していた場合、その口座情報を確認し、適切に管理することが重要です。そのためには、まずはオンラインバンキングの存在を確認し、次にそのログイン情報を取得する必要があります。しかし、これが難しい場合は、銀行に直接連絡して手続きを行うことも可能です。
2-2. 金融機関との交渉
オンラインバンキングの口座情報を得るためには、故人の死亡証明書と遺産相続の証明書を銀行に提出する必要があります。その上で、口座の閉鎖または名義変更の手続きを行います。この過程では、銀行との交渉が必要になることもあります。
3. ソーシャルメディアの取り扱い
3-1. アカウントの存在確認と閉鎖
故人がソーシャルメディアを利用していた場合、そのアカウントをどのように取り扱うかが問題になります。一部のSNSでは、故人のアカウントを「追悼アカウント」に変更することが可能です。この場合、故人の投稿はそのままにしておくことができますが、新たなログインや投稿はできなくなります。
3-2. デジタル遺産としてのSNS
SNSのアカウントは、故人の思い出の一部として遺族にとって大切な存在になることがあります。そのため、追悼アカウントとしてそのまま残すか、あるいは適切に閉鎖するかは、遺族の感情や故人の遺志を尊重することが大切です。
まとめ
デジタル遺産は、今や避けて通れない存在となっています。それらは故人が生前活動したデジタル空間の一部であり、適切に管理し、扱うことが重要です。そのためには、故人が何を利用していたのかを把握し、必要な情報を収集することから始めます。そして、銀行やSNSプロバイダーとの交渉を通じて、適切な処理を進めます。デジタル遺産は、新たな課題を持つ遺産ではありますが、それぞれの事情を尊重しながら取り扱うことが求められます。